持つべきものは
どんな色に毛糸を染めようかといつも試行錯誤しています。美術館へ行ったり、季節の移り変わりに見せる自然の美しさを心にとめておいたり。染色をしているときに、気にかけていることは、カセの状態だけが綺麗なのではなくて、編地も素晴らしいものにしたいということ。(カセや玉の状態の毛糸に恋をして、買ったはいいけれど、編み始めたら、えっ?こんな編地になっちゃったという経験はありませんか?)
そして、欲張りなことに今の手染めの毛糸業界のトレンドが何かも気になります。アメリカ人のカリスマニッターStephen West(とっても面白いので一度覗いて見てください。編み物に興味がない方でも写真を見るだけでも十分楽しめます。彼のFacebookは要チェックです)が好んで使うHedgehog Fibersのようなピンクや蛍光黄色、青、緑とビビッドな色が細かく散りばめられた毛糸が人気なようです。実際に本当に綺麗で可愛らしく、編み物の毛糸というとおばあさんが暖炉のそばで静かに編んでいるちょっと古めかしいイメージがあるかもしれませんが、今流行の毛糸はポップでとても都会的な色合いのものばかりです。
では、染め手としてはどうでしょうか?自分の好きな単色だけ染め続ければいいのでしょうか?それはそれで詰まらないし、ちょっと冒険もしてみたい。そこで、染めるときに自分だけのルールを作りました。靴下専用の毛糸を染めるときはめいっぱい色で遊ぼうと。そして、靴下にもそしてセーターやマフラーにも使えるような毛糸を染めるときはミス・マープルになった気持ちで染めています。
最近凝っているのは、上の写真のような編みながらグラデーションがでるような毛糸づくり。100gのカセを50gずつに分け、グラデーションが対象になるように染めています。(もちろん手染めなので全く同じというわけにはいきませんが。)玉の状態でも編地もお客様に納得いただける毛糸だと思っています。ただ、本当に手間と時間がかかる染め方なので、途中で音を上げることもしばしば。なぜかというと、染めている間に毛糸がこんがらがってしまうことがあるからです。一日の大半を糸をほどく作業に費やしてしまうこともありました。そこで主人にお願いをして作ってもらったのが下の物。
おでんの鍋ではありません。
毛糸玉が染料液の中で動いてこんがらがっちゃうので、一個ずつ分けられるような物が欲しいと言うと、早速次の日ホームセンターでアルミの板を買ってきて、セパレーションを作ってくれたのです。手が込んでいて、角はきちんと丸くなっているではありませんか!これで、作業時間も6分の1に短縮されました。持つべきものはハンディーな夫です。
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