友の思い
小学校に上がるとき「1年生になったら」という歌を歌ったのを覚えています。自分の世界が凄く広がるんだなあと漠然と思っていました。そして、自分にも自然と沢山友達ができるんだろうと期待もしていました。でも、現実はちょっと違っていました。100人なんて無理無理、それはプレッシャーだよと感じました。クラス替えの度に、「ああ、また頑張って友達作らなきゃ」と。それならば新しい世界に飛び込んでいかなければいいのに、好奇心だけは旺盛なので海外へと飛び出してしまったのです。
暗いブリュッセルの地下鉄の駅を歩いていると後ろから「日本語教師会の定期勉強会に参加される方ですか?」ととても明るい透き通るような声で話しかけてくれた人がいました。私が何重にも張り巡らした防御の城壁をヒラっと越えて、「お、お主、忍びの者か」と思わせるような早業で、あれよあれよという間にいろいろ話(大部分はいかに旦那さんのことが好きかというおのろけでしたが)をしてくれて、私の心の壁取っ払ってくれました。日本語教師という繋がりで知り合いになった彼女と、今では20年近い付き合いになります。一緒に旅行をしたり、カフェでお話をしたり、とてもピュアで真っすぐな心根の彼女といると自分のちょっとグレーがかった心が洗われるような気がします。
子育てと仕事でフル活動しているのにも関わらず、出不精で筆不精な私に、毎月カードを送ってくれます。彼女らしさがにじみ出てくる筆跡で、自分の近況と私の健康を気遣ってくれる心のこもったメッセージを添えてくれるのです。友達と呼べる人は100人もできなかったけれど、私のために貴重な時間を割いて、カードを選んで、筆を取り、郵便局に行って投函してくれる、そんな友達がいる自分を「俺も、捨てもんじゃないな」と誇りに思っています!
彼女が送ってくれた可愛いカードからインスピレーションをもらって毛糸を染めてみました。この毛糸を手にしてくださる方が、大切なお友達を思って素敵な靴下を編んでくれるといいのですが。友の思いの連鎖が続きますように。
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