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うっかり王と号泣王の珍道中 -ツール・ド・フランス編- その③


自転車のクラッシクレースが始まりました。パリ-ルーベでは23歳のベルギー人選手が落車事故にあい、亡くなるという悲劇が起こりました。この記事は昨年のツール・ド・フランス中に書かれたものです。違法薬物使用疑惑の最中にある昨年のツール・ド・フランスの覇者クリストファー・フルーム、今年のツールへの参加はいかに?

 

ツール・ド・フランス開催中、ドーピングについてのドキュメンタリーがありました。自転車ロードレースにはドーピング疑惑がいつもついて回ります。中学生頃まではツール・ド・フランスが好きで、特にグレック・レモンのファンで、真夜中に起きて見るほどでした。でも、多くの選手がドーピングをしていると知って、徐々に興味を失っていきました。最近ではランス・アームストロングの7回連続優勝剥奪が記憶に新しいかと思います。

ドキュメンタリーでは色々なスポーツにおけるドーピング問題を取り上げていましたが、中でもアームストロングの栄光の7優勝が始まった年1999年に、ツール・ド・フランスを途中で去ったフランスの選手の話が印象に残りました。彼の名前はクリストフ・バッソン。

当時彼は「ミスター・クリーン」と呼ばれ、注目を集めていました。というのも、その前年に起こった所属チームのドーピングスキャンダルで、唯一不正薬物を摂取していなかった選手だったからです。チームから強要されても断固として断った彼の姿勢は、褒められるどころか、他の選手からひんしゅくをかいました。新しいチームに移っても断固とした彼の反ドーピングの姿勢は変わらず、ツール・ド・フランスが始まってから徐々に他のチームの選手からのみならず、同じチームの仲間からも孤立していきました。そんなとき、事件は起こりました。"ボス"であるアームストロングは選手たちに、次の日は最初の100キロは静かに流して、勝負は残りの80キロでするようにと伝えていました。しかし、爪弾きにあっていたバッソン氏はレースの直前まで知らされておらず、たまたまチームのメカニック担当者にその話を聞かされます。チャンスだと思った彼は、レースの頭から飛び出します。怒ったアームストロングは自分のチームメイトだけでなく、「ミスター・クリーン」のチームメイトをも使って彼をトップから引きずり落としました。そして、がっと肩を掴んで「fuck you」と怒りを露わにして言ったそうです。四面楚歌の状態ではレースを続けることもできず、その二日後ツール・ド・フランスを後にしました。小さいチームに移って自転車ロードレースを続けていましたが、フランス人選手からの陰湿な虐めに遭い二年後プロを引退しました。

この話を知って、背筋がぞっとしました。プロの自転車ロードレースの世界では、反ドーピングという姿勢が全く正しい決断ではなかったということが浮き彫りになったからです。「何でみんながやっていることをお前はやらないんだ。」「お前が声高々に反ドーピングを叫ぶことで、俺たちにとばっちりが来るじゃないか」と言わんばかりに、フランス人選手は「ミスター・クリーン」をレース中轍に嵌めようとしたり、チームで勝ち取った賞金を彼にだけ与えなかったりと、執拗なまでに彼を追い詰めていくのです。そして、7年間以上もみんなが、そしてツール・ド・フランスの委員会までもがアームストロングを守り続けたのです。このスキャンダルの後、ツール・ド・フランス委員会はドーピングのテストを強化し、撲滅運動に力を入れていると宣伝していますが、以前ドーピングで棄権になった選手が続々とチーム監督や、テレビの解説者となって戻ってきているのも事実です。

麻薬、売春の次にお金が動くドーピングビジネス。一掃することは難しいのが現実です。現在フランスの反ドーピング機構で働いている「ミスター・クリーン」は、「アームストロングはドーピングなんかに手を出さなくても充分に強かった。ツール・ド・フランスを制することができたはずだ」と言っています。ドキュメンタリーのタイトルが物語っているように「もっと高く、もっと速く」人の欲望は尽きることがないということなのでしょうか。アームストロングはドーピングを認めたのちのインタビューで、「もし、もう一度あのときに戻れるとしたら」と言う質問に「やると思う」と答えていました。これが彼の本音なのではないでしょうか。

「ミスター・クリーン」の村八分になっても譲ることができなかった信念とアームストロングの狂気とも言えるほどの勝利への執着。

アームストロングとドーピングについての映画『疑惑のチャンピオン』。興味がある方はどうぞ。

http://movie-champion.com/comment.php

 

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